文字が踊って見える?!読み書きが苦手な「ディスレクシア」とは

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みなさんは、「ディスレクシア」という名称を聞いたことはありますか?

「失読症」「難読症」「識字障害」などとも呼ばれ、日本では20人に1~2人ほどの割合で現れるといいます。今回は、今や学年に数人いる可能性があるディスレクシアについて紹介します。

ディスレクシアとは

ディスレクシアは学習障害のひとつで、知的に問題はないものの特に「読み書き」を困難とする症状が見られるのが特徴です。
まずはこちらをご覧ください。

<通常の見え方>
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<ディスレクシアの感じ方>
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出典:特定非営利活動法人EDGE ディスクレシアとは

このようにディスレクシアと言われる人は、文字が躍る・動く・かすれるなどと表現し、どこにどの文字があるかがわからないため、長い文章を正確に読むことが非常に困難なのです。

また字を読むだけでなく、文字が揺らいだりで見えてしまったりする人もいるため、このように鏡文字になってしまったり、字を作ってしまったり、見たばかりの文字を書き写すことができないなどの症状がある人もいます。

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出典:読み書きのみの学習困難(ディスレキシア)への対応策

ディスレクシアの現状

海外では約1割(10~15%)以上の人々がディスレクシアだという統計が出ていて、日本でも5~8%はいると言われています。ですが、日本ではまだ一般的に知られていないだけで実際にはもっと多いという見解がほとんどです。

そのせいか、周りもディスレクシアだということに気が付かず、小さい頃は勉強を怠けている、ふざけているなどと周りから誤解されて孤立してしまうことも。なかには大人になって海外に留学してから気が付くという場合もあるのです。

ディスレクシア簡易チェックリスト

日本語の読み書きについてディスレクシアであるかどうかは、小学4年生くらいにならないとはっきりとわからないとも言われていますが、英語の読み書きが入ってくると途端に困難を示す場合があります。

ちなみにこちらは子供用の「Davis式チェックリスト」です。各項目に、「すごくそう」「まあそう」「あまり・全然そうでない」の3つの中から答え、各分類ごとに「すごくそう」「まあそう」の数を集計していきます。

全般

(1) 頭の回転が速く、非常に知的で、こちらの言うことが分かっているが、学年並みのレベルで読む・書く・スペルすることができない。
(2)怠けている、バカ、不注意、幼い、「努力が足りない」「行動上の問題あり」と見なされている。
(3)IQは高いが、学校のテストの成績は悪いことがある。口頭では成績が良いが、ペーパーテストはできない。
(4)自分をバカだと思っている。自分に自信がない。弱みを創意工夫に富んだ戦略によって巧みに隠す。
(5)学校や読書について、かっとなったり、感情的になったりしやすい。
(6)以下のいずれかの才能が見られる:
芸術、演劇、音楽、スポーツ、ダンス、機械、ストーリーテリング(物語を作って語る)、営業・起業、戦略的思考、デザイン、建築、エンジニアリング
(7)しばしば、「心ここにあらず」に見えたり、ぼけ~っと考えごとにふけっている(白昼夢)ように見える。迷子になりやすいか、時間の感覚を失いやすい。
(8)注意力を維持することが難しい。過集中か、白昼夢を見ているように見える。
(9)実際に手を動かす、デモンストレーション、実験、観察、視覚的補助を通じて学ぶことを最も好む。

見る・読む・書く

(10) 読んだり勉強したりしている最中に、目まい、頭痛、腹痛を訴える。
(11)文字、数字、単語、文字列、口頭での説明に混乱する。
(12)読み書きさせると、文字・数字・単語レベルで、同じところを繰り返す、勝手に加える、別のものに置き替わる、抜かしてしまう、入れ替わる、および鏡文字が見られる。
(13)読む・書く・書き写す最中に、存在しない動きが見えるまたは感じると言う。
(14)視覚に問題があるように見えるが、視力検査をしても問題は見つからない。
(15)非常に観察力が鋭いが、周辺視野や深さの認識が欠けている。
(16)何度も読み返しても意味があまり分からない。
(17)音素のままに書いてしまう。同じ語の綴りが毎回違う。

聴く・話す

(18)言われていないこと、他人には聞こえないことが聞こえる。すぐに気が散る、または音に過敏。
(19)考えを言葉にすることに困難を覚える。不完全な文で話す。ストレスを感じると詰まりながら話したり、どもったりする。話しているとき、長い語を言い間違えたり、フレーズ・言葉・言葉の一部が入れ替わったりする。

書く・運動能力

(20)書く・書き写すことが困難である。鉛筆の持ち方が変な場合がある。
(21)字が読めないくらい汚い。または同じ字でも時と場合によって書きぐせが違う。
(22)不器用、協調動作ができない、球技・チームスポーツが苦手。微細運動および/または粗大運動を必要とする作業に困難を覚える。
(23)乗り物酔いしやすい。
(24)弱い、または完全な両利き。
(25)右と左、上と下をしばしば間違える。

算数、時間管理

(26)今何時か言うこと、時間を管理すること、順を追った情報や作業を学習すること、時間を守ることが困難である。
(27)計算をする際に、指で数えるなどの戦略を用いる。
(28)数は言えるが、ものを数えたり、お金の計算が困難である。
(29)計算はできるが、文章題は苦手。途中の考え方を示すことができない。

記憶・認知

(30)経験したこと、行ったことのある場所、人の顔に関する長期記憶が非常に優れている。
(31)自分で経験していない情報、順を追った出来事の記憶が悪い。
(32)音や文字ではなく、イメージやフィーリングを使って主に考える(内的対話が少ない)。

行動、健康、発達、パーソナリティ

(33)整理整頓がまったくできない、または過剰にきちんとしている。
(34)クラスのピエロ、問題児であることがある。または静かすぎる。
(35)発達(話し始める、はいはいし始める、歩き始める、靴のひもを結ぶ)が異常に早かった、または異常に遅かった。
(36)耳の病気をしやすい。食べ物、添加物、化学物質に過敏である。
(37)非常に深く眠る、または非常に浅く眠る。
(38)適切な年齢を超えておねしょが見られる(見られた)。
(39)痛みへの耐性が異常に高いか、または異常に低い。
(40)正義感が強い、感情が豊か、完璧を求める。
(41)混乱したり、時間的プレッシャーを与えたり、感情的ストレスを与えたり、健康が優れなかったりすると、間違いや症状が激増する。

(出典:http://ondyslexia.blogspot.jp/p/blog-page_25.html

2つ以上の大分類で、半分以上が「すごくそう」、または7割以上が「まあそう」であれば、ディスレクシアの疑いが濃厚のようです。
他にもディスレクシアのチェックリストはありますが、それらを試して「もしかして……?」と思ったときには専門機関を受診してみましょう。

ディスレクシアの有名人とその逸話

海外では約10人に1人はディスレクシアであると言われていますが、日本でもよく知られているトム・クルーズさん、オーランド・ブルームさん、キーラ・ナイトレイさんなどの人気ハリウッドスターや、「ジョーズ」や「ジュラシックパーク」などで有名な、世界的映画監督のスティーブン・スピルバーグも自分はディスレクシアだと告白しています。

ディスレクシアは日本よりも海外の方が認知度が高いと言われていますが、こちらのディスレクシアを告白した有名人も、子供の頃はそれが理解されずに苦しい思いをしたと語っています。

たとえばスピルバーグさんは、読字障害のために教師には十分に勉強していないと思われたり、学校を同級生に比べて2年遅れで卒業したりしました。またそのことで特に中学時代には多くのいじめを受け、学校が嫌いだったこともあったそうですが、10代初めから撮り始めた映画が心の支えになったと言っています。

また、オーランド・ブルームさんは、7歳の時にテストを受けディスレクシア(失読症)であると診断され、単語の意味やアルファベットも理解していたけれども両方が結びつかないなどの現象に悩まされていました。

そこでお母さんは、失語症を克服するために本を50冊読んだらオートバイを買ってあげると約束し、やる気を出させたそうです。結局50冊は読めなかったものの、そのおかげで読書が好きになったとか。
ちなみに俳優であるオーランド・ブルームさんは、今でも台本を読んだり覚えたりするのはとても大変なのだそうです。

ディスレクシアを改善する効果的な方法

ディスレクシアは一生変わることのない障害ではなく、「体験」によってその症状が軽くなる、大幅に改善できるとも言われています。

通常、脳は読むことを繰り返すとどんどん読めるようになっていきますが、ディスレクシアの場合は、読めないから読まない、そして読まないから読めるようにならない……の繰り返しですので、いかに「読む」という経験を積み重ねていくかが大事。

ディスレクシアと向き合う第一歩として、まずは「読みやすい環境」を作ってあげましょう。
また、読みやすい環境を作るときにはこのような配慮も効果的です。

・読みやすい字の大きさと行間にする

小さい字で行間が狭いとどうしても字がくっついて見えてしまうので、できるだけ字は大きく、行間も広くした文章にしてあげましょう。

・文章は1行だけが見えるような窓を作ってみせる

行間を空けても難しい場合などは、1行だけが見えるような窓を作ると読みやすくなります。

・読みやすい字体を使う

比較的明朝体などは読みにくいようですので、ゴシック体などの見やすい文字での教材や本を選びましょう。

・漢字は1文字ずつ見せる

四字熟語などは重なって見えてしまうことがあるので、その場合は1文字ずつ見せてあげると良いでしょう。

・大事なところだけマーカーをひく

最近の教科書は色が多すぎてディスレクシアの人にとっては読みにくい場合もあるので、その場合はモノクロでコピーして大事なところにだけマーカーなどを引くと良いでしょう。

・色つきの透明フィルターを通して文字を見てみる

水色や緑など人によって色は異なりますが、背景に何か色が付くと文字が見やすくなる場合があるようです。
実際にオーランド・ブルームさんは白い紙だと焦点が定まらないため、台本を緑の紙にしてもらうなどをしてもらっているそう。

改善策は個人差がありますので、より良い方法を模索することも大切です。

ディスレクシアをきちんと理解しよう

まだまだ日本では認知度の低いディスレクシアですが、約20人に1人の割合で存在するという報告もあるので、もしかしたらあなたの周りにもいるのかもしれません。

ディスレクシアは学習障害のひとつで、特に読み書きが困難とする人が多いですが、それ以外の学習や生活には問題がなく、逆にIQは高かったり、ずば抜けた芸術的センスを持っていたりというケースもあります。

また、訓練によって改善していく部分もあるので、決して特異なことではないことを理解しておきましょう。

Photo:Vale

参考サイト:
特定非営利活動法人EDGE ディスクレシアとは
on dyslexia
シネマトゥデイ セリフが覚えられない オーランド・ブルーム、失読症との戦いを告白

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